この掲示板を見て頂いていた方に失礼かと思いながら、なかなか更新できなかったこと失礼しました。
学生の皆様の前で以前お話をさせて頂いた時、僕は‘カービングと配列‘の大切さを語りました。
20年近くこの仕事に携わり、色々な経験をした上で、結局のところこの2つのトレーニングを積むことが技術を向上させていく上で最も近道だと思ったからです。
それでもほんの少し、心のどこかにこの2つのトレーニングを至極まじめに取り組んだからと言って、それがその後の皆様が仕事をしていく上で大きな力になるのかどうか不安も感じていました。 素晴らしいカービングと配列が出来たとしても、それだけでお金を稼ぐことが出来て、豊かな生活が望めるわけではありません。 とらえどころを間違えると、むしろ邪魔になることもあるでしょう。
ある方は、対合歯も隣在歯も歯肉の情報もないところで歯の形をとるトレーニングの無意味性を解かれていました。 僕はこの方の意見を全く否定するつもりはありません。 事実、僕自身カービングのトレーニング中、頭の中の大半はこの事が占めていました。
全く同じものを摸刻カービングするという行為はとっても大変で辛い作業です。 観察する目が養われてくればくるほど辛い作業になっていきます。 でも確実に身につくことがあるんですね。
臨床の場に出て、この仕事のキーワードにもなる、適合と必要十分な機能と審美性・・。これらを高いレベルで達成するには根気が要ります。 その根気・・・・、言い換えるとするならば《心の懐の深さ》を、この摸刻カービングは養ってくれます。 天然歯と見紛う表現力が身に付くというのは副産物でしかないと考えています。
世の中にある様々な業界でプロフェッショナルと呼ばれている方々は、皆、何らかのトレーニングによって得られる、この心の懐の深さを持っておられると感じています。
摸刻カービングの真の意味は、この点にあると僕は思っています。
学生の皆様も、時間をいくらかけてもかまいませんから一度トライしてみてください。 完成させるたびに、技術者としての成長を実感できると思います。
次回、今回の補足を交えながら雑感などを書いてみたいと思います。